前々から観ようと思って前売りを買っておいたのだが、今日ようやく行く事ができた。既に観に行った友人たちから散々釘をさされていたのだが、とにかくこの作品と「アーサー王と円卓の騎士」の話を結び付けてはいけないという。別物だと思えば楽しめるという話どおり…だった。
別物といわれても、アーサーやランスロットと聞けばどうしたって期待してしまうのが人の性だと思う。そういう意味でこの作品はいっそ、まったく別の騎士物語にした方が良かったのではないかと思ってしまった。とにかく話が違うのだ。アーサー王伝説のモデルになった人々の話という触れ込みらしいのだが、それならば彼らの名前はオリジナルにすべきではなかったのかと思わざるをえない。アーサーに関係のない、架空の騎士物語であったのなら、もっと楽しめたような気がした。要するに中途半端なのだ。
正直、この映画が「アーサー王伝説」と勘違いしてしまったひとがいるなら、今すぐに原作を読んでほしいと思う。まったく別の世界がそこには広がっている。
個人的にキーラ・ナイトレイ演じるグウィネヴィアだけはいい感じだと思ったが、ジェフリー・ブラッカイマーは彼女にこういう役しか回さないつもりだろうか…。確かに彼女ほど雄々しく美しい女を演じることが出来るひとはそうはいないと思うのだが。
作品として、目のつけどころは悪くないような気もするので勿体無い気もした。
別物といわれても、アーサーやランスロットと聞けばどうしたって期待してしまうのが人の性だと思う。そういう意味でこの作品はいっそ、まったく別の騎士物語にした方が良かったのではないかと思ってしまった。とにかく話が違うのだ。アーサー王伝説のモデルになった人々の話という触れ込みらしいのだが、それならば彼らの名前はオリジナルにすべきではなかったのかと思わざるをえない。アーサーに関係のない、架空の騎士物語であったのなら、もっと楽しめたような気がした。要するに中途半端なのだ。
正直、この映画が「アーサー王伝説」と勘違いしてしまったひとがいるなら、今すぐに原作を読んでほしいと思う。まったく別の世界がそこには広がっている。
個人的にキーラ・ナイトレイ演じるグウィネヴィアだけはいい感じだと思ったが、ジェフリー・ブラッカイマーは彼女にこういう役しか回さないつもりだろうか…。確かに彼女ほど雄々しく美しい女を演じることが出来るひとはそうはいないと思うのだが。
作品として、目のつけどころは悪くないような気もするので勿体無い気もした。
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マスター・アンド・コマンダー
2004年8月21日 映画
ここ数年、すっかり映画にハマッている私だが、その中でも最近特にのめりこんだ作品がこれである。
まず海が好きで海賊が好きで海軍が好きで男の友情が好きで…なんてひとにはたまらない映画だ。これは映画の予告があまりに作品と掛け離れていて随分と問題にもなった作品である。予告では、主役のオーブリー艦長の部下であるブレイクニー少年が、あたかも倒れた上司の代わりに自分が船を指揮して勝利したように見えたものだが、実際はまったく違う。違い過ぎて思わず笑ってしまった。
主役は誰がどう見ても、ラッセル・クロウ演じるジャック・オーブリーである。彼は途中で指揮を誰かに委譲したりしないし、最後まで素晴らしくカッコイイ、それでいて人間味の溢れる艦長だった。そして忘れてはならない準主役は、ブレイクニー少年ではなく、オーブリーの親友であり、船医でもあるマチュリンである。この役を演じるポール・ベタニーがまたおそろしく上手い。視線だけで観客をとりこにするなんてすご過ぎる。彼は台詞を言葉よりも視線でより多く語る。親友への気遣い、自身の研究への情熱、そして船と船員たちに対する愛情。どれを取っても彼の心はその瞳に一番よく現れている。
最近、原作を読んでいるため、この映画が原作をかなり創作したものだということはわかっている。だが、私はこれはこれで十分楽しめる作品だと思う。原作の少し間抜けでカワイイ艦長と船医も愛しいが、映画の中の素晴らしいカリスマで皆をまとめ、「ラッキー・ジャック」の呼び声も高い漢前オーブリーと、自身の研究に心を残しながらも親友のためにひと肌脱ぐ友情篤きマチュリン船医もこの上なくいとおしいのだ。
百聞は一見に如かず。回りの評価など気にせず、まずは一度ご覧になることをオススメする。一週間に3度も同じ映画を見てしまった、初めての作品である。2を作るとか作らないとかいう話があるようだが、それはどうなのだろうと傍観している今日この頃…。続編にいいものは少ないのでつい警戒してしまうのは悲しい性かもしれない。
DVD ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2004/07/23 ¥4,179
ナポレオン率いるフランス軍が、各国に侵攻していた19世紀初頭。不敗神話を誇る、イギリス軍の艦長ジャック・オーブリーが率いる「サプライズ号」が、フランスの武装船に果敢な攻撃を挑む。艦長役でオスカー俳優ラッセル・クロウが主演。ハリウッド王道の超大作とはちがい、さまざまなポイントで興奮と感動を与える海洋アクション・ロマン…
まず海が好きで海賊が好きで海軍が好きで男の友情が好きで…なんてひとにはたまらない映画だ。これは映画の予告があまりに作品と掛け離れていて随分と問題にもなった作品である。予告では、主役のオーブリー艦長の部下であるブレイクニー少年が、あたかも倒れた上司の代わりに自分が船を指揮して勝利したように見えたものだが、実際はまったく違う。違い過ぎて思わず笑ってしまった。
主役は誰がどう見ても、ラッセル・クロウ演じるジャック・オーブリーである。彼は途中で指揮を誰かに委譲したりしないし、最後まで素晴らしくカッコイイ、それでいて人間味の溢れる艦長だった。そして忘れてはならない準主役は、ブレイクニー少年ではなく、オーブリーの親友であり、船医でもあるマチュリンである。この役を演じるポール・ベタニーがまたおそろしく上手い。視線だけで観客をとりこにするなんてすご過ぎる。彼は台詞を言葉よりも視線でより多く語る。親友への気遣い、自身の研究への情熱、そして船と船員たちに対する愛情。どれを取っても彼の心はその瞳に一番よく現れている。
最近、原作を読んでいるため、この映画が原作をかなり創作したものだということはわかっている。だが、私はこれはこれで十分楽しめる作品だと思う。原作の少し間抜けでカワイイ艦長と船医も愛しいが、映画の中の素晴らしいカリスマで皆をまとめ、「ラッキー・ジャック」の呼び声も高い漢前オーブリーと、自身の研究に心を残しながらも親友のためにひと肌脱ぐ友情篤きマチュリン船医もこの上なくいとおしいのだ。
百聞は一見に如かず。回りの評価など気にせず、まずは一度ご覧になることをオススメする。一週間に3度も同じ映画を見てしまった、初めての作品である。2を作るとか作らないとかいう話があるようだが、それはどうなのだろうと傍観している今日この頃…。続編にいいものは少ないのでつい警戒してしまうのは悲しい性かもしれない。
DVD ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2004/07/23 ¥4,179
ナポレオン率いるフランス軍が、各国に侵攻していた19世紀初頭。不敗神話を誇る、イギリス軍の艦長ジャック・オーブリーが率いる「サプライズ号」が、フランスの武装船に果敢な攻撃を挑む。艦長役でオスカー俳優ラッセル・クロウが主演。ハリウッド王道の超大作とはちがい、さまざまなポイントで興奮と感動を与える海洋アクション・ロマン…
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新書館のコミックである。ちなみに罰はばちと読む。
座敷わらしが主人公の、なんともレトロなお話。現代と昔が柔らかくブレンドされて、絵柄と相俟って優しい雰囲気を醸し出している。憎い家を呪いたかったはずの座敷わらしはでも、その家にとどまることで富をもたらしてくれる。妖怪の一種だったと思うのだが、この妖怪がもたらすのはひとが求めてやまないものなのだ。
そんな悲しい座敷わらしが、現代で初めて幸せになれるお話がこのコミックである。こどもに読んでほしいなあと思ったり、心が疲れたひとが読んでもきっと癒されるような気もする。現代にもこんな優しい一家がいるのだということ、受け入れることの度量の広さ、そんな家庭にこそ幸せがきてしかるべきなのだという当たり前のことに気付かされる。
心あたたまる、癒しの本だ。
ISBN:4403617611 コミック 鈴木 有布子 新書館 2004/07 ¥546
座敷わらしが主人公の、なんともレトロなお話。現代と昔が柔らかくブレンドされて、絵柄と相俟って優しい雰囲気を醸し出している。憎い家を呪いたかったはずの座敷わらしはでも、その家にとどまることで富をもたらしてくれる。妖怪の一種だったと思うのだが、この妖怪がもたらすのはひとが求めてやまないものなのだ。
そんな悲しい座敷わらしが、現代で初めて幸せになれるお話がこのコミックである。こどもに読んでほしいなあと思ったり、心が疲れたひとが読んでもきっと癒されるような気もする。現代にもこんな優しい一家がいるのだということ、受け入れることの度量の広さ、そんな家庭にこそ幸せがきてしかるべきなのだという当たり前のことに気付かされる。
心あたたまる、癒しの本だ。
ISBN:4403617611 コミック 鈴木 有布子 新書館 2004/07 ¥546
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夏休みと仕事のあいだ
2004年8月17日ご無沙汰。旅行から帰ってみた。東京は夏だった(当たり前)。
木曜は暑いけれどまだ我慢がきくくらい。金曜は暑かった。土曜は最悪に暑かった…。そして何故か日曜は秋のように涼しく、月曜は過ごしやすいあたたかさだった。不思議な天候。春と夏と秋を駆け抜けたような、そんな感じ。そうして帰ってきてみれば、地元はもう秋。
読書の季節だ。休み明け、たまった仕事を片付けるのは難儀しそうだが、それが終わったらあたたかな紅茶を供にゆっくりと心行くまで本が読みたい。きっと、あっという間に冬がくる。それまで、夏の名残を楽しみながら残暑の間はアイスティーで大好きな本を読もう。
木曜は暑いけれどまだ我慢がきくくらい。金曜は暑かった。土曜は最悪に暑かった…。そして何故か日曜は秋のように涼しく、月曜は過ごしやすいあたたかさだった。不思議な天候。春と夏と秋を駆け抜けたような、そんな感じ。そうして帰ってきてみれば、地元はもう秋。
読書の季節だ。休み明け、たまった仕事を片付けるのは難儀しそうだが、それが終わったらあたたかな紅茶を供にゆっくりと心行くまで本が読みたい。きっと、あっという間に冬がくる。それまで、夏の名残を楽しみながら残暑の間はアイスティーで大好きな本を読もう。
なんだかさっきまでここはサーバーダウンしていたみたいで。
一昨日より昨日、そして昨日より今日と少しずつだけど涼しくなってきている。なのに明日からもっともっと暑い東京に行く私は何なのだろう(笑)。どこへゆくのでも旅行と言うのは何か特別な心地が呼び起こされる。どきどきとわくわくと、ほんの僅かな憂鬱。それが微妙な割合でブレンドされてその中に漬かっている前日までの間が一番楽しいのだ。
明日、飛行機の中で読もうと思って鞄に入れたのが、江國香織さんの「なつのひかり」と、小説「攻殻機動隊 凍える機械」だ。なんてギャップだろうと可笑しくなる。いくら乱読派だからと言って、これはどうなのかと思わないでもない。でもどちらも読むのを楽しみにしてとっておいた本なのだ。
攻殻機動隊については、私は然程アニメというものに興味がないのでテレビ放映されているらしいアレは見ていない。ただ、今年になって映画の「イノセンス」と「アップルシード」は友人に連れられて見に行った。単純にあの世界観が好きで興味を持ったのだ。きっかけは何であろうと面白い本に出会えるのなら、とても幸せなことだと思う。だから私はできるだけ先入観を取り払って、どんなジャンルのどんな本でも読んでみることにしている。そうして意外な場所でよい本に出会えたときの嬉しさといったら、ちょっと言葉にならないくらいの幸せだ。
東京でそんな本と出会えたりしないだろうかと少し期待している。久々に会う友人や、ふと足を踏み入れた知らない本屋など、旅行先にはどきどきがたくさん私を待っているに違いない。
それでは16日までアディオース。
一昨日より昨日、そして昨日より今日と少しずつだけど涼しくなってきている。なのに明日からもっともっと暑い東京に行く私は何なのだろう(笑)。どこへゆくのでも旅行と言うのは何か特別な心地が呼び起こされる。どきどきとわくわくと、ほんの僅かな憂鬱。それが微妙な割合でブレンドされてその中に漬かっている前日までの間が一番楽しいのだ。
明日、飛行機の中で読もうと思って鞄に入れたのが、江國香織さんの「なつのひかり」と、小説「攻殻機動隊 凍える機械」だ。なんてギャップだろうと可笑しくなる。いくら乱読派だからと言って、これはどうなのかと思わないでもない。でもどちらも読むのを楽しみにしてとっておいた本なのだ。
攻殻機動隊については、私は然程アニメというものに興味がないのでテレビ放映されているらしいアレは見ていない。ただ、今年になって映画の「イノセンス」と「アップルシード」は友人に連れられて見に行った。単純にあの世界観が好きで興味を持ったのだ。きっかけは何であろうと面白い本に出会えるのなら、とても幸せなことだと思う。だから私はできるだけ先入観を取り払って、どんなジャンルのどんな本でも読んでみることにしている。そうして意外な場所でよい本に出会えたときの嬉しさといったら、ちょっと言葉にならないくらいの幸せだ。
東京でそんな本と出会えたりしないだろうかと少し期待している。久々に会う友人や、ふと足を踏み入れた知らない本屋など、旅行先にはどきどきがたくさん私を待っているに違いない。
それでは16日までアディオース。
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地図とガイドのあいだ
2004年8月9日昨日は何というか、やっぱり無理だった…。<読書
札幌は現在、6日連続真夏日更新中。ありえなさ過ぎ。真夏日がこれでもう14日を数えた。やや夏バテ気味である。
今日は仕事の帰り、涼しい本屋に立ち寄ってみた。もうすぐ仕事が夏休みに入るのだけど、更に暑い東京に滞在する予定なのだったり。暫くご無沙汰な友人たちと語り合い、4月に結婚して東京で暮らしている妹に会いに行くのだ。そんなわけで、本屋の主目的は「地図ガイド」。東京へはこれまで何十回となく行っているけれど、まだ行ってない場所がたくさんあって知らないところ、乗り換えの仕方がわからないところもたくさんある。ガイドは、だから今の私が見てもわくわくする部分が満載だ。
地図ガイドはたくさんあるが、どうも私の好みというか、ニーズにぴったりとくるものが見つからず。とりあえず妥協してるるぶの小さい奴を買ってみた。決め手は池袋の詳しさである。池袋へは何度も行っているので目新しくもないのだが、何故か東京在住の妹にガイドを頼まれていて、彼女が池袋に行きたいと言うのだった。ガイドをやるからには現地で迷子など言語道断である。そんなわけでガイドブックの登場なのだ。うまく活用できることを祈る…。
12日から16日まで、そんなわけでお留守でーす。
そして地図ガイドだけを買って帰るはずが、「アイシールド21」の最新刊が出たので買ってみた。あと気になっていた「罪と罰(ばち)」も。レビューはいずれ書こうと思う。
札幌は現在、6日連続真夏日更新中。ありえなさ過ぎ。真夏日がこれでもう14日を数えた。やや夏バテ気味である。
今日は仕事の帰り、涼しい本屋に立ち寄ってみた。もうすぐ仕事が夏休みに入るのだけど、更に暑い東京に滞在する予定なのだったり。暫くご無沙汰な友人たちと語り合い、4月に結婚して東京で暮らしている妹に会いに行くのだ。そんなわけで、本屋の主目的は「地図ガイド」。東京へはこれまで何十回となく行っているけれど、まだ行ってない場所がたくさんあって知らないところ、乗り換えの仕方がわからないところもたくさんある。ガイドは、だから今の私が見てもわくわくする部分が満載だ。
地図ガイドはたくさんあるが、どうも私の好みというか、ニーズにぴったりとくるものが見つからず。とりあえず妥協してるるぶの小さい奴を買ってみた。決め手は池袋の詳しさである。池袋へは何度も行っているので目新しくもないのだが、何故か東京在住の妹にガイドを頼まれていて、彼女が池袋に行きたいと言うのだった。ガイドをやるからには現地で迷子など言語道断である。そんなわけでガイドブックの登場なのだ。うまく活用できることを祈る…。
12日から16日まで、そんなわけでお留守でーす。
そして地図ガイドだけを買って帰るはずが、「アイシールド21」の最新刊が出たので買ってみた。あと気になっていた「罪と罰(ばち)」も。レビューはいずれ書こうと思う。
暑いねえ。今年はこの北国でさえもありえないくらいの猛暑に襲われている。扇風機のまん前に陣取って読書を試みてみるものの、ものの5分もしないうちに投げ出してしまう。折角の休日なのに読書もできないなんて。
昨日は結局夜9時に本屋へ向かった。それでもまだ外が暑い! それは驚くべきことだった。ありえないと呟きながら、汗をかかないようにゆっくりと歩く。絡みつく空気が腕をとらえて足をとらえて、髪をアップにしてさらけ出されているうなじをもとらえる。じわりと汗が滲む頃、本屋の明るい看板が見える。わー助かった! 飛び込めば、涼しい店内。思わず顔がほころぶ。涼しいだけじゃなくて、本屋は天国だ。魅力満載だ。うっとりとしてしまう。
私は新刊を売る本屋も、古本を売る本屋も好きだ。新刊の売る本屋の匂いは真新しい紙とインクのそれで、古本屋には消毒のために使っているらしい何かの、微かな甘い匂いがする。家の近くにはその両方が隣合わせで並んでいて大変便利である。
昨夜の私は古本屋の方へ足を踏み入れた。探している本があるのだ。とりあえず古本でいいやと思う程度の本で、もし読んでみて失敗しても古本であれば諦めがつく。
そしてお目当ての本があった。「冷静と情熱のあいだ」だ。青い方の奴だ。赤い方の江國さんの本は既に新刊で買い求め、読破もしている。要するにこの本が面白くて、きけば辻さんの本は順正のサイドから同じ話を書いているというではないか。読まずにはいられない。でも正直、私は彼の本が少し苦手だった。芥川賞を受賞した「海峡の光」という本がある。私が初めて読んだ辻さんの本はこれだった。というかこれしか読んだことがない。いい本だと素直に感じたが、単純に好みではなかった。私は読んで明るい気持ちになれる本が好きなのだ。
そういう意味で江國さんの本は微妙である。実際、あまり「ハッピーエンド」と呼べるような終わり方の本は少ないのだ。それなのに彼女の本の読後感は決して悪くない。要するにエンディングとは幸せに終わるかどうかなのではなく、その余韻をどんな風にもっていくかなのだなあと思った。彼女の本の余韻はある意味ないとも言える。さっぱりとあっさりとしていて後に引き摺らない。それでいて自分がすっかり彼女の世界に惹き込まれてしまっていることを知るのだ。読書の醍醐味だと思う。
そんなわけで今日は「冷静と情熱のあいだ blau」を読もうと思っているのだが、この暑さ次第だ。多分無理なような気がしている…。
昨日は結局夜9時に本屋へ向かった。それでもまだ外が暑い! それは驚くべきことだった。ありえないと呟きながら、汗をかかないようにゆっくりと歩く。絡みつく空気が腕をとらえて足をとらえて、髪をアップにしてさらけ出されているうなじをもとらえる。じわりと汗が滲む頃、本屋の明るい看板が見える。わー助かった! 飛び込めば、涼しい店内。思わず顔がほころぶ。涼しいだけじゃなくて、本屋は天国だ。魅力満載だ。うっとりとしてしまう。
私は新刊を売る本屋も、古本を売る本屋も好きだ。新刊の売る本屋の匂いは真新しい紙とインクのそれで、古本屋には消毒のために使っているらしい何かの、微かな甘い匂いがする。家の近くにはその両方が隣合わせで並んでいて大変便利である。
昨夜の私は古本屋の方へ足を踏み入れた。探している本があるのだ。とりあえず古本でいいやと思う程度の本で、もし読んでみて失敗しても古本であれば諦めがつく。
そしてお目当ての本があった。「冷静と情熱のあいだ」だ。青い方の奴だ。赤い方の江國さんの本は既に新刊で買い求め、読破もしている。要するにこの本が面白くて、きけば辻さんの本は順正のサイドから同じ話を書いているというではないか。読まずにはいられない。でも正直、私は彼の本が少し苦手だった。芥川賞を受賞した「海峡の光」という本がある。私が初めて読んだ辻さんの本はこれだった。というかこれしか読んだことがない。いい本だと素直に感じたが、単純に好みではなかった。私は読んで明るい気持ちになれる本が好きなのだ。
そういう意味で江國さんの本は微妙である。実際、あまり「ハッピーエンド」と呼べるような終わり方の本は少ないのだ。それなのに彼女の本の読後感は決して悪くない。要するにエンディングとは幸せに終わるかどうかなのではなく、その余韻をどんな風にもっていくかなのだなあと思った。彼女の本の余韻はある意味ないとも言える。さっぱりとあっさりとしていて後に引き摺らない。それでいて自分がすっかり彼女の世界に惹き込まれてしまっていることを知るのだ。読書の醍醐味だと思う。
そんなわけで今日は「冷静と情熱のあいだ blau」を読もうと思っているのだが、この暑さ次第だ。多分無理なような気がしている…。
眠い。
なんというか、眠い午後です。土曜日です。休日です。
1週間を長いと感じていた後のお休みは格別。昼まで寝てもそもそとブランチを食い(ランチとも言う)、パソコンに向かい、この後は大好きな本屋へ向かう。至福。安上がりだけど、これがきっと幸せ。
現在、ハマリの作家は江國香織さんだ。随分昔にも読んだはずなのだけど、その当時は特にハマリはしなかった。年齢のせいかなあ。環境のせいかなあ。今はどうしてもっと早くにハマらなかったのだろうと思うくらい大好きだ。だから、幸せ。もっともっと読みたい。
なんというか、眠い午後です。土曜日です。休日です。
1週間を長いと感じていた後のお休みは格別。昼まで寝てもそもそとブランチを食い(ランチとも言う)、パソコンに向かい、この後は大好きな本屋へ向かう。至福。安上がりだけど、これがきっと幸せ。
現在、ハマリの作家は江國香織さんだ。随分昔にも読んだはずなのだけど、その当時は特にハマリはしなかった。年齢のせいかなあ。環境のせいかなあ。今はどうしてもっと早くにハマらなかったのだろうと思うくらい大好きだ。だから、幸せ。もっともっと読みたい。
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時は流れるのではない、積み重なるのだ
2004年8月6日 読書暑い日が続いている。夏という季節は大好きなのだが、暑過ぎる夏はいただけない。北国在住のため、夏はとても貴重だった。海に行こうと思える日も一年にたった数日しかない。それが普通だった。だが今年はどうだろう。ほぼ毎日のように海日和ではないか。こどもたちにとってはそれもいいと思うが、関係のない人間にとって暑過ぎる日はうんざりするばかりである。これでは読書もはかどらない。
これまで随分とたくさんの本を読んできた。それでもこの世には膨大な量の本があり、私が読んだものは…語法として誤っているが敢えて言えば「氷山の一角」である。まだまだまだまだ世界には私の好きな本が眠っている。そう思うとすごく幸せだ。
私の読書は乱読である。ジャンルを問わず、好きそうな本なら何でも読む。おかたい純文学から、今流行りのボーイズラブまで本当に何でもだ。
好きな作家も列挙していけば滅茶苦茶である。純文学と呼ばれる分野なら芥川龍之介だ。本当にこの人の作品は好きだ。追いつめられた人間にしか書けないような、はりつめた緊張とそれの織り成す美のようなものが滲み出ている。一瞬で消えてしまうようなはかないそれは、この先どれほどたくさんの作家が出てきても、色あせることはないのだろう。
英国詩人もかなり好きで、大学時代はキーツやシェリーを研究したこともあった。このふたりの詩人は異様に好きだ。特にキーツは暗誦できそうな勢いである。彼等の詩を日本語で読むのはあまりに愚かであると思う。彼等自身の国の言葉でないのなら読む必要もない。あの言葉でなければ彼等の詩の悲しい美しさは決してわからない。他にワーズワース、バイロン、ロバート・バーンズの詩を特に愛している。
打って変わって最近の作家で言うと、よしもとばなな、江國香織、田中芳樹、長野まゆみ、池田あきこ、永井路子あたりをよく好んで買っている。特に江國香織はごく最近読み始めたのだが、一気にハマッてしまった。とは言え「きらきらひかる」が文庫で出たときに一度読み、「冷静と情熱のあいだ」がハードカバーで出たときに読んでいるのだが、そのどちらのときもハマれなかった。不思議なものだなあと思う。
他にもティーンズ向けの本や児童書やミステリーや、それから漫画もたくさんたくさん読む。本屋は、だからこの世の楽園である。
これまで随分とたくさんの本を読んできた。それでもこの世には膨大な量の本があり、私が読んだものは…語法として誤っているが敢えて言えば「氷山の一角」である。まだまだまだまだ世界には私の好きな本が眠っている。そう思うとすごく幸せだ。
私の読書は乱読である。ジャンルを問わず、好きそうな本なら何でも読む。おかたい純文学から、今流行りのボーイズラブまで本当に何でもだ。
好きな作家も列挙していけば滅茶苦茶である。純文学と呼ばれる分野なら芥川龍之介だ。本当にこの人の作品は好きだ。追いつめられた人間にしか書けないような、はりつめた緊張とそれの織り成す美のようなものが滲み出ている。一瞬で消えてしまうようなはかないそれは、この先どれほどたくさんの作家が出てきても、色あせることはないのだろう。
英国詩人もかなり好きで、大学時代はキーツやシェリーを研究したこともあった。このふたりの詩人は異様に好きだ。特にキーツは暗誦できそうな勢いである。彼等の詩を日本語で読むのはあまりに愚かであると思う。彼等自身の国の言葉でないのなら読む必要もない。あの言葉でなければ彼等の詩の悲しい美しさは決してわからない。他にワーズワース、バイロン、ロバート・バーンズの詩を特に愛している。
打って変わって最近の作家で言うと、よしもとばなな、江國香織、田中芳樹、長野まゆみ、池田あきこ、永井路子あたりをよく好んで買っている。特に江國香織はごく最近読み始めたのだが、一気にハマッてしまった。とは言え「きらきらひかる」が文庫で出たときに一度読み、「冷静と情熱のあいだ」がハードカバーで出たときに読んでいるのだが、そのどちらのときもハマれなかった。不思議なものだなあと思う。
他にもティーンズ向けの本や児童書やミステリーや、それから漫画もたくさんたくさん読む。本屋は、だからこの世の楽園である。