陰陽師 太極ノ巻 夢枕 獏
2006年3月27日 読書「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになった。
陰陽師といえばこのフレーズ。久々に読んだこのシリーズだが、違和感なくとけこんでくれるのは、変わらないこの言葉と、晴明と博雅のふたりの関係かもしれない。
雅(みやび)の中にも人間と妖(あやかし)それぞれのいとなみがあって、自然をも含めたそのすべては呪(しゅ)で結ばれているという。美はただそこに最初から永遠に在り続けるものではなく、対象となるものと、それを称える人間がいてこそ美は成り立つのだと。
すべては理(ことわり)に従って流れ、流れの中で人間は精一杯に生き、それは妖であっても変わりはなく、仏さえも同じなのだと彼は言う。不思議の中の現実はあたたかい。それこそが一番不思議なことかもしれない。
ISBN:4167528150 文庫 夢枕 獏 文藝春秋 2006/03/10 ¥500
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