このひと、ホントにおもしろいなあ…。というのが、最初の感想。「国家の品格」が大ベストセラー中の著者だが、この本を手に取ったきっかけは小川洋子さんのあの作品である。この本を読むと、オビの台詞がよーく実感できる。教師では物足りない。このひとならきっと今のどうしようもない教育というものを、根本から変えてくれるのだろうなあと確信してしまう。だから、余計に切ない。

この本の中身は3部構成になっていて、1部が現在の「国語」というものについて、2部が自身の家族のエッセイのような感じ(これがまたすごく楽しく、それ以上に親であるひとたちには是非読んでほしいと切に願う)、3部は実母との満州訪問記になっている。それぞれにまったく違った魅力があり、3部は実母(作家の藤原ていさん。ちなみに実父は同じく作家の故・新田次郎氏。すごい家庭だ…)と彼自身がかつて住んでいた満州を訪れるのだが、これがまたお母さんの手記(「流れる星は生きている」など)の方で壮絶なドラマが展開されていたりして何とも深い。

個人的には「国家の品格」よりこちらを読んでほしい。特にこどもの親は是非に。育て方ひとつでこどもはこうまで変わるものかとしみじみ思うこと間違いなしである。

ISBN:4101248087 文庫 藤原 正彦 新潮社 2005/12 ¥420

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索