通勤途中や移動時に気軽に読める本と思って買ってみた。このひとの本はたくさん出ているが、読むのはこれが初めてである。恋愛系やら男女のうんぬんのエッセイには興味がないので、このひとの本はこれが最初で最後かもしれないが…。

これは食に関する著者の意見が経験や想い出をまじえながらストレートに書かれていて、割合面白かった。でも殆ど共感はせず。どうやら食の好みは私とほぼ対極にあるらしい…。あと、旧人類的観点なのだな、このひとは。別にさして若くはないのだが、このひとの中の分類では私はかなり若者の部類に入るのだろう。そういう気がした。まあ充分現代っ子ではあるので。

鍋物の中の豆腐って別に嫌いじゃない。というか大抵の鍋物が嫌いなので私。豆腐のようにどんな中に混ざっていても違和感のない具は、私にとっては結構救いだったりする。例外はすき焼き。それにキムチ鍋かな? このふたつはかなり好き。キムチ鍋はからいもの駄目なくせに好きなので、食べるときは口の中が火事になることを承知の上で戦わなければならない。隣にはマンゴーラッシーなどを用意。いわば火事の場合の消火器である。カレーを食うのかおまえは。

道産子のくせに何より苦手なのが石狩鍋。味噌仕立ての鍋はもうまったく駄目だ。魚のエキスがもろに生っぽく入り込んでいて匂いだけで死にそうになる。当然ちゃんこも食えない。何だかこれだけで食人生結構損している気がするのは何故だろう…。

とまあ私はこんな感じなのだが、著者は逆に鍋好きなので豆腐のようにあまり意味のない具は好きじゃないらしい。湯豆腐は別口だとか。わかるけど共感は出来ない。全編に渡り殆どがそんな感じだった。

一番の違いはこのひとは異様に食に執着を持っていて、私にはそれがない。これに尽きる。美味しいものは好きだけど、並んでまで食べたくは無いし、遠くまで出る気もなく、外食はあまり好まない。これだけ揃えば充分過ぎる私だった…。 

ISBN:4344406826 文庫 酒井 順子 幻冬舎 2005/08 ¥520

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