お、新刊が出ているーとにこにこ顔で手に取ったのも束の間、私の顔は引きつった。
「あ、厚い………!!!」
某K氏の本に匹敵するのではないかという重み、厚さ。どちらかと言えば分厚い本があまり好きではない私だが、K氏もとい京極氏とこのひとだけは別なのだと改めて認識。

厚いのも当たり前だ。あんな展開が待っているとは。

今回はとにかくローク、ローク、ロークの回だったと思う。バッチを失ったイヴの茫然自失振りは予想以上だった。今回は、彼女の彼女らしい出番はエンディングに近くならないと出てこない。その代わり、彼女の周囲の人々にこれでもかというほどスポットライトがあたり、そして彼らがどれほど彼女を愛しているかを教えてくれる。番外…ではないのだが、読者的には美味しい番外編的楽しみにあふれた1冊。

あのホイットニーまでが本部長に噛み付いたというのだからニヤリ。

本当は盛大に甘やかして悲しみも苦しみもない世界でふたりきりになりたいであろうロークの、自制心がこれでもかというほどしつこく試されていた。しかし彼は本当によく我慢した。そしてこの上なく格好よくイイ男だった。たとえ彼の容姿が堕天使のようなあやしい美貌に満ちていなかったとしても、読者はこぞって彼を褒め称えて惚れたのは間違いない。

バッチを取り戻し、イヴ・ダラスとして改めて顔を上げた彼女の次回の活躍が待ち遠しく、また次回からは周囲の人々に対する視点も変わってより一層楽しく読めるだろう。

ISBN:4789725359 文庫 中谷 ハルナ ソニー・マガジンズ 2005/04 ¥903

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