オペラ座の怪人

2005年3月19日 映画
念願叶ってようやく観に行くことが出来た。3連休とあって人出が多く、オペラ座の怪人も公開から暫く経つというのに満員御礼。すごい。

1870年パリのオペラ座で、プリマドンナが事故に巻き込まれ役を降板。新人のバレエダンサーのクリスティーヌが大役を得て、舞台を成功に導く。しかし、その姿をじっと見つめる仮面の男がいた。幼なじみの男性ラウルと再会して喜ぶ彼女を、仮面の男は地下深く連れ去る。
作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの傑作ミュージカル『オペラ座の怪人』は、日本でも劇団四季が大ヒットさせたので知っている人も多いだろう。この舞台をジョエル・シュマッカー監督が映画化。ウェバーの音楽を最大限にいかすために、ドラマはミュージカル構成。よってネームバリューよりも歌唱力のある役者が集められ、怪人にジェラルド・バトラー、クリスティーヌにエイミー・ロッサム、ラウルにパトリック・ウィルソンが抜擢され、吹き替えなしで見事に演じ、歌いあげている。オペラ座の美術、衣装、めくるめく映像など、贅の限りをつくしたようなまぶしさで、ヴィジュアルがこの悲劇を盛り上げるのに一役買っているといっても過言ではないだろう。


元々小説の方はうんと昔から何度か読んでいて、劇団四季のミュージカルも観ているので、ストーリーに関してはもうすっかりわかっている。なので話を追うよりそれ以外にじっくりと目を向けることが出来てとても楽しかった。

豪華絢爛なオペラ座。吸い込まれるように入ってゆく着飾った人、人、人。舞台の上のダンサーやシンガー。その裏で戦争のような忙しさで走りまわる人々。裏方。そして――ファントム。

自分で想像していたとおりの、イメージを裏切らないオペラ座の地下でとても嬉しくなった。ああこうだ。こうだったと見たこともないくせに深く納得をする。靄が立ち込め、色を深く染めて辺りに満ちる水。むき出しの壁。無数の燭台。一台のピアノの回りには、書き途中の楽譜が散乱している。それから布をかけられた鏡、鏡、鏡。ファントムのひそやかな生活空間には音楽と悲しみと孤独があふれていた。

今回、ファントム役を演じられた俳優さんは精悍な顔立ちのハンサムガイで、それゆえにあの醜く崩れ落ちた半顔が痛々しい。でも個人的な感想ではそれでもラウルよりずっと格好良かったと思うのだが…。クリスティーヌの選択をどうかと思ってしまった私はやっぱり、純情や一途、貞節を重んじる日本人であって、あの作品は恋多きフランスのものなのだ。ちなみに普段そんなことを思ったこともない。不思議だな…。

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