鉱石倶楽部 長野まゆみ
2005年3月2日 読書
このひとの影響で鉱物関係に興味を持つようになった。今はパワーストーンの類いは綺麗な小さな店で簡単に手に入るようになり、そういう店に群がるのはもっぱら女性が多くなった。昔はきっと、専門関係のひとが行くだけで年配の男性が多かったのではないかなあと思うのだが。
この本は、ひとつひとつ彼女のお気に入りの石に、ちょっとした短い物語をつけて、幻想の中で石を別なものに変身させ、読んだひとの想像力を掻き立てる1冊となっている。本来は鉱物であってそれ以外の何物でもないわけだが、彼女の筆にかかれば、それらはとても夢のあるものに美しく変わり、少年たちや動物たちの好物と化すのである。
その石をソォダ水にとかせば、少年が夏に好んで飲む美味しい飲み物に早がわりし、また別の石は猫たちがその姿を美しく飾り輝かせるのに使われたりする。彼女の世界の中で、「鉱石」は欠かせない小道具である。石のかけらひとつから物語が生まれるのだ。むき出しの鉱物は決して綺麗に磨かれたりしていない。あるがまま、掘り出されたままの形でそこにある。そうであるがゆえに石たちの語りかけてくる言葉は無限に等しい。そこには彼等の生きてきた長い長い時間と、石の中に閉じ込められた時間とファンタジーとが、作者の想像力を常に刺激しているに違いない。
ISBN:4167679302 文庫 長野 まゆみ 文芸春秋 2005/02 ¥700
この本は、ひとつひとつ彼女のお気に入りの石に、ちょっとした短い物語をつけて、幻想の中で石を別なものに変身させ、読んだひとの想像力を掻き立てる1冊となっている。本来は鉱物であってそれ以外の何物でもないわけだが、彼女の筆にかかれば、それらはとても夢のあるものに美しく変わり、少年たちや動物たちの好物と化すのである。
その石をソォダ水にとかせば、少年が夏に好んで飲む美味しい飲み物に早がわりし、また別の石は猫たちがその姿を美しく飾り輝かせるのに使われたりする。彼女の世界の中で、「鉱石」は欠かせない小道具である。石のかけらひとつから物語が生まれるのだ。むき出しの鉱物は決して綺麗に磨かれたりしていない。あるがまま、掘り出されたままの形でそこにある。そうであるがゆえに石たちの語りかけてくる言葉は無限に等しい。そこには彼等の生きてきた長い長い時間と、石の中に閉じ込められた時間とファンタジーとが、作者の想像力を常に刺激しているに違いない。
ISBN:4167679302 文庫 長野 まゆみ 文芸春秋 2005/02 ¥700
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