蓼科日記 池田あきこ
2005年2月6日 読書
これも東京行きに持参した本。何度か読んではいるのだが、疲れているときにこのひとの絵は心から癒される。この本は、美しい自然と、日常から離れた安らぎと、当たり前の人の営みのやさしさと、そんなものでできている。私は北海道が好きだから、あまりここから離れて暮らしたいとは思わないのだが、いつか離れるときがくるのかもしれない。そうなっても、この土地を忘れることはないのだなあと思う。
愛する土地があるというのはステキなことだ。それが故郷であろうと、新しく求めた場所であろうと違いはない。安らいで暮らせればそこがそのひとにとっての楽園なのだから。
今日、東京から戻って来た。家族はまだ東京にいるのだが、私はどうしても月曜の朝に出社しなくてはならないので一足先に帰ってきた。旅立つ日(土曜の朝だ)はひどい雪で、空港行きのバス停に行くまでもひどく難儀した。早朝だったため、まだ誰も雪をかいていなかったのだ。私はショートブーツを履いていたので何とかなったが、家族はどちらもブーツを履いておらず、足首まで埋まりながらため息をついていた。
空港はざわめいていた。案の定、このひどい雪で除雪が追いついておらず、飛行機の発着が遅れていた。私たちの乗る次の便からは登場手続きさえも止められていた。金曜は晴れていたのだが、万が一のことを考えて午前中の便にしてよかったと思った。
飛行機は一時間遅れで羽田に到着した。新しい第二ターミナルを堪能する間もなく京急に飛び乗る。………。東京よ。何故こんなに暖かいのに暖房をがんがん入れるのだ…。行く先々でこの暖房に辟易した。北海道ではこの気温で暖房はありえない。ありえないんだったら。結局、帰るまで私はこの暑さにぐったりしていた。
土曜の仮通夜と、日曜の本通夜に出て、慌しく東京を発った。妊娠4ヶ月の妹は、思ったより元気そうでほっとした。まだつわりが終わっていないらしいのだが、随分食欲は戻ったと言っていた。義弟は気丈な風を見せていた。とてもやさしい彼がこちらに気を遣うのが切なかった。通夜の夜は両親が妹をホテルに引き取ったようだ。妊婦には通夜の騒ぎや煙草のけむりがよくないと、あちらの人々に言われたせいもあるが、妹がいれば義弟はゆっくり悲しむ暇もないだろうと思ったからだ。私は先に失礼して北海道へ帰ったが、今夜は久々に両親と夜を過ごす妹はだいぶリラックスして見えた。やっぱり疲れていたのだろう。少しは元気になるといいなと思いつつ、帰って来た北海道はまたとんでもなく寒かった……。熱い風呂がこれほど嬉しかった日もそうはない。
さて、寝る前にあたたかいお茶を呑んで一息つこう。
義母の冥福を祈りつつ。彼女が眠るように、苦しむことなく逝ったと聞いて、少しだけ心がほっとした。
ISBN:4122043557 文庫 池田 あきこ 中央公論新社 2004/04 ¥780
愛する土地があるというのはステキなことだ。それが故郷であろうと、新しく求めた場所であろうと違いはない。安らいで暮らせればそこがそのひとにとっての楽園なのだから。
今日、東京から戻って来た。家族はまだ東京にいるのだが、私はどうしても月曜の朝に出社しなくてはならないので一足先に帰ってきた。旅立つ日(土曜の朝だ)はひどい雪で、空港行きのバス停に行くまでもひどく難儀した。早朝だったため、まだ誰も雪をかいていなかったのだ。私はショートブーツを履いていたので何とかなったが、家族はどちらもブーツを履いておらず、足首まで埋まりながらため息をついていた。
空港はざわめいていた。案の定、このひどい雪で除雪が追いついておらず、飛行機の発着が遅れていた。私たちの乗る次の便からは登場手続きさえも止められていた。金曜は晴れていたのだが、万が一のことを考えて午前中の便にしてよかったと思った。
飛行機は一時間遅れで羽田に到着した。新しい第二ターミナルを堪能する間もなく京急に飛び乗る。………。東京よ。何故こんなに暖かいのに暖房をがんがん入れるのだ…。行く先々でこの暖房に辟易した。北海道ではこの気温で暖房はありえない。ありえないんだったら。結局、帰るまで私はこの暑さにぐったりしていた。
土曜の仮通夜と、日曜の本通夜に出て、慌しく東京を発った。妊娠4ヶ月の妹は、思ったより元気そうでほっとした。まだつわりが終わっていないらしいのだが、随分食欲は戻ったと言っていた。義弟は気丈な風を見せていた。とてもやさしい彼がこちらに気を遣うのが切なかった。通夜の夜は両親が妹をホテルに引き取ったようだ。妊婦には通夜の騒ぎや煙草のけむりがよくないと、あちらの人々に言われたせいもあるが、妹がいれば義弟はゆっくり悲しむ暇もないだろうと思ったからだ。私は先に失礼して北海道へ帰ったが、今夜は久々に両親と夜を過ごす妹はだいぶリラックスして見えた。やっぱり疲れていたのだろう。少しは元気になるといいなと思いつつ、帰って来た北海道はまたとんでもなく寒かった……。熱い風呂がこれほど嬉しかった日もそうはない。
さて、寝る前にあたたかいお茶を呑んで一息つこう。
義母の冥福を祈りつつ。彼女が眠るように、苦しむことなく逝ったと聞いて、少しだけ心がほっとした。
ISBN:4122043557 文庫 池田 あきこ 中央公論新社 2004/04 ¥780
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