このシリーズは結局最新である7巻まで読破したのだが、この2巻とそれから6巻が一番面白かった。2巻は、イヴとロークが本当の意味で恋人になるまでの話で、6巻はロークの過去と対決する話である。一見、完璧な人間に見えるロークが悶々と悩んだり、そんな自分を激しく嫌悪したりするのがかなり楽しい。今まで手折った花のように自分の意のままにはならないイヴへ、どんどんと惚れ込んで本気になっていく様は彼をとても人間くさく見せている。手の届かないような男が、すぐ近くまで降りてきたような、多分女性はそんな錯覚に胸をときめかせるのだろう。他人事のようだが、ロマンスをやや苦手分野にしているもので、一歩引いたところで読んでしまう。そのせいかもしれない。とは言え、一歩引くのはあくまで読後のことなので、読んでいる最中はとりこになった読者たちと何ら変わらない。イヴの前に跪いてしまいそうな自分を必死で律するロークを、どきどきしながら見つめているだけだ。

そして何気にこのシリーズ、いつも食事風景がすごーくすごーく惹かれるんだけども…。ロークが用意する彼女のための食事がいつも素晴らしくて思わず喉が鳴ってしまう。決して花よりだんごではない…と思う。どちらかというと食には興味のない私なのに、それでも想像だけでうっとりしてしまうような、この食事描写はさすがだなあ。

それにしてもオートシェフって魅力的! 飛ぶ車より宇宙間旅行より何よりオートシェフが羨ましい今日この頃。女である意味はあるのか私。


ISBN:4789720349 文庫 小林 浩子 ソニーマガジンズ 2003/05 ¥798

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