結局怒涛の勢いで最新刊まで揃えてしまった……。これ、12月に発行されていたので、発売日に買えばクリスマスで丁度タイムリーだったのだけれど。今回もまた連続殺人事件が起こり、それはクリスマスに関連しているのだが、捜査に没頭しつつもロークと初めて迎えるクリスマスに戸惑い揺れるイヴの心理描写も見どころであると思う。

イヴに段々と大事なひとが増えてきた。ロークは勿論のこと、親友のメイヴィス、先輩のフィーニー、部下であり友人でもあるピーボディ、どちらかといえば敵対してしまいそうな立場のキャスターであるナディーン、ドクターマイラ……。クリスマスは夫だけでなく、親しい人々にもプレゼントを贈る。ずっとひとりきりで生きてきたイヴは、彼らにプレゼントを選ぶということに戸惑いと困惑を感じる。それでも、彼女は一生懸命彼らにプレゼントを選ぼうとする。ナディーンに「あなたにプレゼントを贈るべきだと思う?」と問いかけたイヴは多分きっと最高に人間らしく可愛かっただろう。「もちろんよ」と答えたナディーンの笑みがそれを物語っている。

過去の傷から、ずっとかたくなに自分の殻に閉じこもり続けた敏腕女警部補も、ようやく最愛のロークの前では素直になることを許し始めたようだ。それでも仕事に関しては絶対に譲らず、倒れる一歩手前まで無理を重ねることをやめない。それを止めることが出来るのはただひとりロークだけだ。大富豪の愛情の大きさはその財産に比例するのか? と言いたくなる程彼の愛はなんというかものすごい。イヴ専用のセンサーで彼は今日も見えないところからも彼女を支え続けている。


ISBN:4789724441 文庫 J・D・ロブ 青木 悦子 ソニー・マガジンズ 2004/12 ¥840

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