どちらかといえば恋愛映画に興味のない私をとりこにした作品。初めて見たのはもう随分と前のことだ。当時はまだ大きな映画館が近くになく、映画館通いよりレンタルでビデオを借りてくるのが日常だった。バイト先にレンタルビデオ部があったせいでもある。

これは当時のバイト仲間に勧められて観た1本で、その前に「スピード」を観ていてサンドラ・ブロックに好感を持ったこともあり、恋愛ものだというのを知りながらも借りてみたのだった。

この映画の根底に流れるのは素朴なやさしさである。ドラマチックな展開もあるにはあるし、設定自体がひどく現実離れしたものでもある。それなのに、この話は誰にでも手が届くような日常と隣合わせで、うだつのあがらないひと、退屈な毎日を繰り返しているひとにも、奇跡やステキな出会いがあるのだと教えてくれる。夢のある作品だ。

相手役のビル・プルマンはインディペンデンス・デイの大統領役でお馴染みの役者さんだが、凛々しく雄々しい大統領とは打って変わって、地味でどこにでもいるようなひとりの若者を、気負うことなく自然に演じていてさすが役者だなあと感心した記憶がある。そんなふたりを繋ぐのは「平凡」「目立たなさ」と、それゆえに互いが持つ一途でやさしい思いである。自分よりも相手を思うシンプルな恋情が、恋愛映画にありがちなどろどろとした部分に無縁で、観終わった後のさわやかさとあたたかさが何よりの魅力だろうと私は思う。

いつもクリスマスが近くなると観たくなる映画だ。

DVD ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2004/05/21 ¥1,890 地下鉄の改札で働くルーシー(サンドラ・ブロック)は、クリスマス・イヴの朝にホームへ転落して昏睡状態に陥った弁護士ピーター(ピーター・ギャラガー)の家族から、彼の婚約者と勘違いされてしまい、さらには弟ジャック(ビル・プルマン)が彼女にほのかな恋心を寄せていく……。 サンドラ・ブロックが『スピード』で注目された直…

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