クラッシュ・プレイズ 嘆きのサイレン

待ってましたの新刊。新シリーズなどと銘打ってはいるが、要するにスカーレット・ウィザード第3部である（どう読んでも前作の続きとしか思えない。同姓同名の別人以前の問題だと思います作者さま…ステキだ）。あの怪物夫婦がセットで大大大好きな私にはたまらない1冊だ。

一度死んだことで様々な制約がなくなったケリーとジャスミンは、いよいよやりたい放題の人生を謳歌しようかというところだろう。しかし副題の「クラッシュ・ブレイズ」は伊達ではない。彼らの周囲には特大のトラブルがついて回り、火に油を注いでいるとしか思えない美人の感応頭脳や、必然的に巻き込まれてゆく人外天使ズの皆様方が加わって相変わらずの宇宙規模のアドベンチャーとアクションに長年のファンは笑いが止まらない。

しかしあの夫婦の会話ときたら身体でかわすアクションかバトルしかないのだろうか。色気が無いにも程がある。そのくせ互いを誰よりも信頼していて以心伝心っぷりを周囲に見せつけるのだからすごい。まさに生まれ変わってもまた一緒を地でいくバイオレンスカップルだ。

今回は表紙からダイアナにもかなりのスポットがあたっていた。彼女の生き方そのものがテーマだったような気がする。知能のない感応頭脳を排除するを厭わず、仲間は彼がいればそれでいいと微笑むダイアナは本物のいい女だと思う（勿論人間じゃないが）。

そんな素敵な彼等が次回は一体どんなトラブルに巻き込まれていくのか。平穏など彼等の幸せの辞書には載っていないのだなと思いつつ、命がけの夫婦関係からまだまだ目が離せない。

ISBN:4125008779 新書 茅田 砂胡 中央公論新社 2004/11/25 ￥945