いつ終わるんだかさっぱりわからない気の長いシリーズである。だがファンは多い。特にひっそりと読み続けているファンの多さには頭が下がる。私もその中のひとりなわけだが、とにかく新刊と新刊の間が長いので、最新刊が出る度に1巻から読み直してもう一度流れを把握し直す必要がある。

たくさんのキャラクター、飛ぶ時代。自分は今どこの話を読んでいるのか悩みながら読まなくてはならない。決して親切な本ではない。それなのにじっくりと読むのが心から楽しいと思ってしまう。絵も特殊で美しいかといえばどうだろうと思うときもあるのに、このひとでなければならないと思ってしまう。なんというか、一度好きになったらとことんまでとりこにしないと気が済まないらしいのだ、この話は。

そのくせ、この本をきっかけにして広がった友人の輪もあったりしてなかなか面白い。男女を問わずひっそりファンがみっしりとついているこのシリーズ。ゆったりとした速度で語られてゆく伝説は、まさに時間を操る神の話にふさわしい。そして神とて決して万能ではないのだと、人間と等しき苦悩の中に生きる神とそれを取り巻くファティマと騎士たち。軽快な語り口で繋がる人の連鎖は、それゆえに心にずっしりと重い。

さて、次の巻が出るのはいつ頃だろう。待つのにも慣れたわたしはのんびりと構えて春を待っている。

ISBN:4048532499 コミック 永野 護 角川書店 2000/09 ¥1,050

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