時を超える旅―世界遺産をたずねて
2004年10月6日 読書
説明不要の著名な画家、平山郁夫さんの画文集である。世界遺産を訪ねて120回ものシルクロードの旅を、彼の美しく繊細な絵とやさしく愛のある言葉で形にした一冊だ。
歴史あるいくつもの文化的遺産が、これまで数多くの戦争の中で無残にも破壊されてきた。それを憂慮した作者が、未来へのメッセージとして残したものとも言える。いくつもの国を渡り、時代を飛んでそれぞれの歴史へと旅をする。その経緯、彼の湧き上がる熱意の中に国境も人種もない。あるのはただ、人類の果てしのない歴史と伝統と愛情とが作り出した、比類なき芸術への憧れ、感動、そして悲哀だ。彼の描く絵は美しいだけではなくどこか哀しい。それは彼の心の叫びが色を塗られる前の下地に塗り込められているからだ。芸術を愛し、人間を愛する画家の声なき主張を、彼の珠玉の絵を堪能しながら味わってほしいと思う。
メッセージはただひとつ。国境、人種など、この芸術の前には意味のないものなのだ。すべてはひととひととが協力し、力を合わせて生み出したものではないか。これ程までに美しく切実な時代のメッセージに、現代人は何故気付かないのだろう。見えるものを見えないと言い、叫びを聞かぬために耳に蓋をする。そうして今日もまたどこかでかつての人類の愛の証がコンクリートや鉄の塊によって壊されてゆく。
ISBN:4255970327 単行本 平山 郁夫 朝日出版社 1998/01 ¥1,995
歴史あるいくつもの文化的遺産が、これまで数多くの戦争の中で無残にも破壊されてきた。それを憂慮した作者が、未来へのメッセージとして残したものとも言える。いくつもの国を渡り、時代を飛んでそれぞれの歴史へと旅をする。その経緯、彼の湧き上がる熱意の中に国境も人種もない。あるのはただ、人類の果てしのない歴史と伝統と愛情とが作り出した、比類なき芸術への憧れ、感動、そして悲哀だ。彼の描く絵は美しいだけではなくどこか哀しい。それは彼の心の叫びが色を塗られる前の下地に塗り込められているからだ。芸術を愛し、人間を愛する画家の声なき主張を、彼の珠玉の絵を堪能しながら味わってほしいと思う。
メッセージはただひとつ。国境、人種など、この芸術の前には意味のないものなのだ。すべてはひととひととが協力し、力を合わせて生み出したものではないか。これ程までに美しく切実な時代のメッセージに、現代人は何故気付かないのだろう。見えるものを見えないと言い、叫びを聞かぬために耳に蓋をする。そうして今日もまたどこかでかつての人類の愛の証がコンクリートや鉄の塊によって壊されてゆく。
ISBN:4255970327 単行本 平山 郁夫 朝日出版社 1998/01 ¥1,995
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