文鳥様と私

2004年9月29日 コミック
昔、実家ではずっとセキセイインコたちが共に住んでいた。手乗りではない成鳥だったのだが、慣れてくると私の手にも抵抗なく乗ったかわいい子たちだった。言葉を教えたりすることには興味がなかったので、我が家のインコは皆メスだった。今にして思うと番いの方があの子たちは幸せだったのだろうなあと思ったが、この寒い地方で子供が生まれてもちゃんと育たなかったのかもしれない。いずれにせよ、今はもう遠い昔の話だ。

このシリーズは1巻からずっと読んでいて、今月とうとう6巻が出た。たくさんの文鳥たちと、その飼い主で漫画家である作者との、小さな何気ないエピソードが一冊にいっぱい詰まっている。それは思い出の宝箱だ。インコと文鳥では細かい部分での違いはあるが、概ね私の中の思い出にも重なることが多い。美しく繊細なタッチとコミカルな台詞とで紡がれるタイムカプセルを開けている気持ちになれる。

小さな、本当に小さな、てのひらサイズの命は、ともすれば奢りがちな人間へ「生きている」ことの力強さと美しさを語りかけてくる。耳をすませば、小鳥たちの高く綺麗な声が、自然の讃歌を歌っているのが聞こえてくるようだ。

ISBN:4873171512 コミック 今 市子 あおば出版 2000/06 ¥683

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