江國香織さんのエッセイである。私はこの本で彼女にのめり込んだと言っても間違いじゃないと思う。これ程までに美しい流れのエッセイを、これまで読んだことがなかった。書かれているのは彼女の夫婦生活の日常である。それでいて不思議に現実味がない。どこか遠くの知らない国で営まれている物語の暮らしのようだ。
元々彼女の文体はとても綺麗だ。それに加えて、小道具ひとつひとつの描写が細かく、込められた愛情を感じて優しい。彼女と、彼女の夫との暮らしは順風満帆というわけではないのだろうが、それでもどこかに羨望を感じるのはきっと、彼女がとても自由であるからなのだろう。
彼女はまるで風のようだと思う。彼女の夫たる人物はそれをよく知っていて、決して風を一所にとどめようとはしない。だから風はいつでも好きな方向に吹き、最後には彼の元へ戻って来る。理想的な夫婦だと思った。この本からは、緑の匂いのする雨を含んだ、遠く懐かしい風の匂いがする。
ISBN:4087473198 文庫 江國 香織 集英社 2001/05 ¥440
元々彼女の文体はとても綺麗だ。それに加えて、小道具ひとつひとつの描写が細かく、込められた愛情を感じて優しい。彼女と、彼女の夫との暮らしは順風満帆というわけではないのだろうが、それでもどこかに羨望を感じるのはきっと、彼女がとても自由であるからなのだろう。
彼女はまるで風のようだと思う。彼女の夫たる人物はそれをよく知っていて、決して風を一所にとどめようとはしない。だから風はいつでも好きな方向に吹き、最後には彼の元へ戻って来る。理想的な夫婦だと思った。この本からは、緑の匂いのする雨を含んだ、遠く懐かしい風の匂いがする。
ISBN:4087473198 文庫 江國 香織 集英社 2001/05 ¥440
コメント