翡翠の眼

2004年9月16日 読書
最近、このシリーズも読み始めてみた。とは言え、随分前に開始されたシリーズのため、本屋になかなかない。古本屋に行ってようやく数冊入手できたような感じで、間を飛ばして新刊を読んだりと順番が滅茶苦茶だ。一応、1冊でひとつの事件が解決するようになっているのだが、コラリーとフェリックスの距離が段々と近付いてゆくのも醍醐味のひとつなのだろうと思う。それを飛ばし飛ばしで読んでもあまり気にならないのは、このふたり、たとえ結婚しても変わりそうにないからか。

主人公の片割れコラリーは仕立て屋の娘だが、母が男爵の娘で仕立て屋に駆け落ちしてきたらしい。その母はとうに亡くなっているのだが、この程、母の父親…つまりコラリーの祖父と対面が叶い、無事和解。その際に申し分のない婚約者を連れてこいという条件があったことから、共について行ったのが幼馴染のフェリックスだったのだ。それからコラリーとフェリックスのふたりは、祖父の男爵の屋敷で暮らしている。

フェリックスは近衛兵だ。つまり陛下直属の兵士というわけだが、おそろしく美形で頭もものすごくいい。なのに性格がなんというかもう破綻している。思ったことはすべて口に出すと言ってもよく、それが国王陛下相手であっても変わりはない。そのくせ陛下には玩具として可愛がられて(苛められて)いるようで、問題をいくつ起こしても何度となくその尻拭いをしてもらえている。但しその条件にとんでもない事件の解決をさせられてばかりいる、自業自得の可哀想なひと。

フェリックスはコラリーを一途に想い続けているが、何分あの性格のため彼女を怒らせてばかりいる。コラリーもまたかなり破天荒かつお転婆猪突猛進早とちり大得意少女のため、ふたりの周囲にはトラブルが耐えない。…とてもいいコンビだと思う…。

まあそんなふうに、ふたりでいくつもの事件を解決し(フェリックスが事件の謎を解き、コラリーは引っかき回しているだけとも言うが)、恋敵の美形な怪盗や顔だけはいいが性格破綻(こういうキャラが多い…)の国王や、それぞれの事件のゲストを交えてテンポよく話は進んでゆく。

そんなシリーズの中の一作にあたるこの本は、今まで読んだ中でもかなり面白いと思う本だった。この本でようやくふたりが両思いになるせいでもあるだろうし、怪盗がうまく絡んでくる話であり、興味深い事件に巻き込まれているせいでもあると思う。まるで人間らしくないフェリックスの本音が覗ける、貴重な本かもしれない。

ここでようやく正真正銘の恋人同士になれたふたりだが、飛び飛びに読んで知った今後の展開によると、まだまだ結婚への道は険しいらしい。いつも冷静なフェリックスが焼き餅をやくシーンが読んでいて一番すきである。変な美形には相変わらず弱い私だった。

別に意図しているわけでもないのだが、最近のレビューはジュニア文庫ばかりだ。頭が疲れているのかなー。乱読派なので実際、純文学からボーイズラブまで何でも読む。…ボーイズラブはなんというか本の出過ぎでかなり食傷気味なのだが、ジュニア系でもミステリーやファンタジーメインの話にはかなり面白いものも多い。

読書の秋の間に、これからどれ程の新しい発見、新しい本との出会いがあるかと思うと、すごくわくわくしてくる。

ISBN:4086146002 文庫 橘香 いくの 集英社 1999/06 ¥560

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