ここ数年、すっかり映画にハマッている私だが、その中でも最近特にのめりこんだ作品がこれである。

まず海が好きで海賊が好きで海軍が好きで男の友情が好きで…なんてひとにはたまらない映画だ。これは映画の予告があまりに作品と掛け離れていて随分と問題にもなった作品である。予告では、主役のオーブリー艦長の部下であるブレイクニー少年が、あたかも倒れた上司の代わりに自分が船を指揮して勝利したように見えたものだが、実際はまったく違う。違い過ぎて思わず笑ってしまった。

主役は誰がどう見ても、ラッセル・クロウ演じるジャック・オーブリーである。彼は途中で指揮を誰かに委譲したりしないし、最後まで素晴らしくカッコイイ、それでいて人間味の溢れる艦長だった。そして忘れてはならない準主役は、ブレイクニー少年ではなく、オーブリーの親友であり、船医でもあるマチュリンである。この役を演じるポール・ベタニーがまたおそろしく上手い。視線だけで観客をとりこにするなんてすご過ぎる。彼は台詞を言葉よりも視線でより多く語る。親友への気遣い、自身の研究への情熱、そして船と船員たちに対する愛情。どれを取っても彼の心はその瞳に一番よく現れている。

最近、原作を読んでいるため、この映画が原作をかなり創作したものだということはわかっている。だが、私はこれはこれで十分楽しめる作品だと思う。原作の少し間抜けでカワイイ艦長と船医も愛しいが、映画の中の素晴らしいカリスマで皆をまとめ、「ラッキー・ジャック」の呼び声も高い漢前オーブリーと、自身の研究に心を残しながらも親友のためにひと肌脱ぐ友情篤きマチュリン船医もこの上なくいとおしいのだ。

百聞は一見に如かず。回りの評価など気にせず、まずは一度ご覧になることをオススメする。一週間に3度も同じ映画を見てしまった、初めての作品である。2を作るとか作らないとかいう話があるようだが、それはどうなのだろうと傍観している今日この頃…。続編にいいものは少ないのでつい警戒してしまうのは悲しい性かもしれない。



DVD ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2004/07/23 ¥4,179

ナポレオン率いるフランス軍が、各国に侵攻していた19世紀初頭。不敗神話を誇る、イギリス軍の艦長ジャック・オーブリーが率いる「サプライズ号」が、フランスの武装船に果敢な攻撃を挑む。艦長役でオスカー俳優ラッセル・クロウが主演。ハリウッド王道の超大作とはちがい、さまざまなポイントで興奮と感動を与える海洋アクション・ロマン…

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