暑いねえ。今年はこの北国でさえもありえないくらいの猛暑に襲われている。扇風機のまん前に陣取って読書を試みてみるものの、ものの5分もしないうちに投げ出してしまう。折角の休日なのに読書もできないなんて。

昨日は結局夜9時に本屋へ向かった。それでもまだ外が暑い! それは驚くべきことだった。ありえないと呟きながら、汗をかかないようにゆっくりと歩く。絡みつく空気が腕をとらえて足をとらえて、髪をアップにしてさらけ出されているうなじをもとらえる。じわりと汗が滲む頃、本屋の明るい看板が見える。わー助かった! 飛び込めば、涼しい店内。思わず顔がほころぶ。涼しいだけじゃなくて、本屋は天国だ。魅力満載だ。うっとりとしてしまう。

私は新刊を売る本屋も、古本を売る本屋も好きだ。新刊の売る本屋の匂いは真新しい紙とインクのそれで、古本屋には消毒のために使っているらしい何かの、微かな甘い匂いがする。家の近くにはその両方が隣合わせで並んでいて大変便利である。

昨夜の私は古本屋の方へ足を踏み入れた。探している本があるのだ。とりあえず古本でいいやと思う程度の本で、もし読んでみて失敗しても古本であれば諦めがつく。

そしてお目当ての本があった。「冷静と情熱のあいだ」だ。青い方の奴だ。赤い方の江國さんの本は既に新刊で買い求め、読破もしている。要するにこの本が面白くて、きけば辻さんの本は順正のサイドから同じ話を書いているというではないか。読まずにはいられない。でも正直、私は彼の本が少し苦手だった。芥川賞を受賞した「海峡の光」という本がある。私が初めて読んだ辻さんの本はこれだった。というかこれしか読んだことがない。いい本だと素直に感じたが、単純に好みではなかった。私は読んで明るい気持ちになれる本が好きなのだ。

そういう意味で江國さんの本は微妙である。実際、あまり「ハッピーエンド」と呼べるような終わり方の本は少ないのだ。それなのに彼女の本の読後感は決して悪くない。要するにエンディングとは幸せに終わるかどうかなのではなく、その余韻をどんな風にもっていくかなのだなあと思った。彼女の本の余韻はある意味ないとも言える。さっぱりとあっさりとしていて後に引き摺らない。それでいて自分がすっかり彼女の世界に惹き込まれてしまっていることを知るのだ。読書の醍醐味だと思う。

そんなわけで今日は「冷静と情熱のあいだ blau」を読もうと思っているのだが、この暑さ次第だ。多分無理なような気がしている…。

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